●食い意地旅行記 屋台の飯はうまかタイ  NO.   

  2000/2/28 

      昨夜の寒い雨と違って、今朝はからりと晴れ渡ってスゲーいい天気だ。
      カジンは、ホテルの朝食バイキングの中華粥を、バクバクお腹に流し込んでいる。
      風邪にはコレがいちばん薬になるんだと、3回もおかわりに行った。
      一晩グッスリ眠ったことで、カジンの風邪も少しは良くなった様子だ。
      腹ごなしの散歩の時、ホテル裏の美容院の2階にあるタイマッサージを発見。
      美容院の店内を通り抜け、そのまま2階に上がると、6畳ほどの板張りに煎餅布団が2枚敷いて
      ある。私とカジンは、頭からすっぽりかぶる薄手の治療着(?)に着替え、その布団にデロ〜っと
      寝ころんだ。即、オバサンが2人がマッサージを始める。
      オバサンのカタコトの日本語で、「気持ちいい、サバーイ」とタイ語を教わった。
      マッサージをしてもらっている間中、私がサバーイを連発していると、オバサンもニコニコしていた。
      1時間半1人200B。カジンは体がスッキリしたと言うが、私は、体のどこが楽になったのか
      よく判らない。でも、タイマッサージを体験した、ということで満足しよう。

      
      で、そのあと思いついて、チェンラーイより、さらに北にあるチェンセーンにお出かけ決定。
      その前に、バスターミナル横にあるお店で、飛んでいるハエを追いながら汁ソバを食べる。
      だんだん汁ソバの味付けが旨くなった、と私は自画自賛しながらカジンに威張る( ̄^ ̄)!
      バスターミナルで各停留所止まりのローカルバスに乗り込む。もちろん冷房無し。
      走りだすと、開いた窓から風が入って気持ちイイ。
      窓の風景は、黄土色…という印象だ。途中緑の木々に囲まれた小さな村があるけど、アスファルト
      道路以外は土の地べた。ブロックやモルタル住宅は、元が白のハズなのに、皆、土ほこりまみれの
      黄土色だ。
      地元の乗客は、バス停でないところに止めて降り、道ばたで運転手に手を挙げて乗ってくる。
      うーん、アバウトな路線が面白いなァ。

      
      1時間半ほどでチェーンセーンに到着。
      バス停から一本道をどんどこ歩いて行くと、黄土色したメコン川にぶつかった。
      「川の向こう岸がラオスだ」とカジンが教えてくれた。
      単一民族で島国の日本生まれには、広い川の向こうが外国と言われてもピンと来ない。
      しかし、カジンの説明に、私は、そうかそうかと感心しつつ、土手に座り込んで、記念の一服。
      なンか煙草が特別美味しく感じるのは、メコン川ほとりの国境風景のせいかしらん!?
      ーーー川っぺりでメコンウィスキーを舐め、ガイヤーンを喰らい、煙草をふかしながら、ずーっと
      川の流れを眺めていたいなァ……。う〜ん、今度、機会があったらココで一泊したいものだ。
      …と思いつつ、今来た道を戻る。
      道路脇にずーっと店や屋台が並んでいる。ピンクやグリーンの蛍光色のお菓子はきっと超甘?
      奥に行くと市場があった。ここもナコーン・パトムと同じように、山のように食材が売られている。
      メコン川で獲れたらしい見たこともない魚もいた。
      しかし、こっちの葉っぱものは皆、日本の野菜と比べて、みずみずしさがない。
      ゴツゴツバザバサと硬そう。きっと暑い国だから、野菜類も硬く逞しく育つのかもしれない。

      
      道路ッ端の食堂で、おじさんが焼きそばを食べているのを見たら、急に同じ物が食べたくなった。
      店のオバサンに指さして注文。自分で味付けするようだけど、そのまま食べても美味しかった。
      別のオープンカフェーで食後の珈琲を飲む。ドロ〜ッとしたタイ珈琲じゃなく日本で飲む普通の
      珈琲の味がした。よく見れば日本語のメニューもある。
      今日は日本人の観光客は見かけないが、普段それだけ日本人観光客が来るっていうことか?
      久しぶりの日本味珈琲で和んでいたら、急に帰りのバスの時刻が気になってきた。
      地方の乗り物の最終時刻は早い。それは、ナコーン・パトムの駅で経験済みだ。
      バス停案内所にニーチャンがいたので、メモ用紙に時刻の数字?マークを見せて聞く。彼は、
      「5:30」という数字を書いて寄越した。やっぱり最終バスも早いや…。

      それでも小1時間ほど時間がある。カジンは、もう一度見物してくると言う。私は再度今の珈琲屋
      に戻ってビールを頼んだ。
      ちびちび呑みながら道ばたの行き交う人をボーッと眺めていたら、突然、警官がやってきた。
      私の脇に立って私をジロジロ眺める。いつまでたっても立ち去らない。
      ーーー大麻やクスリを観光客の荷物にわざと仕込んで、捕まえるフリをしながら
     賄賂を取るって言うけど、もしかして、コレがそーなのぉ……
(=_=;)
      ドキドキする私。さも観光客だぞぉ〜ッて仕草で、『地球の歩き方』を広げて読むフリをする。
      ドキドキ……不安なまま頁を広げて眺める…ドキドキ…もちろん文字なんか見えていない。
      警官は、しばらくして店の女性に、私をチラチラ見ながらヒソヒソと何やら尋ねている。
      ーーーおぉ〜い、カジンよぉ、早く戻って来いよぉ〜ッ!!
      結局、その警官は15分ほどいたが、ようやく店から立ち去った。
      ホッ…。いったい何ッ(怒)
      入れ替わりにカジンが戻ってきた。
      手には、タイに来てからずーっと欲しがっていた念願のサンダル…っていうか、日本のどこに
      でも売ってるようなビニールの突っかけ。それでも機嫌イイ。はぁ〜…ま、いいか。
     
      夜、ずーっと憧れていた、ナイトバザールの会場になっている屋台広場へ繰り出す。
      舞台の前が広場になっていて、たくさんの丸いテーブルには、地元の人々、欧米人の観光客。
      その周りを取り囲むように、裸電球で明るくした屋台がたくさん出ている。タイの民族音楽も流れている。
      みんな白い発砲スチロールのお皿に入ったいろんな物を食べている。
      「うわあ〜ガイヤーンだ。焼きそばもある。見て見て、海老とかも売ってるッ!」
      ひとりコーフンする私にカジンが、
      「慌てるな、ドオ〜ドオゥ〜、まずは飲み物を頼んでからだ」
      と、腹ペコリンの飼い犬を鎮めるように言った。
      でも、酒類の注文取りのニーチャンが忙しいらしく、いくら待ってもなかなか来ない。すると、
      カジンは、自らヒョコヒョコとカウンターのある店まで注文に出かけた。
      身振り手振りで注文するカジン。
      ーーーなぁーんだ、自分だって落ち着きないじゃん(^O^)
      シンハービールにメコンウィスキー。氷、水、やっと揃ったところで、かわりばんこに屋台へ
      買い出し。焼きそば、海老焼き、焼き鳥、アサリの入った空芯炒め、薩摩揚げのような海老の
      すり身を揚げた物。いずれも薄く切った数切れのキュウリが飾られ、液体の唐辛子や甘い
      ナッツ入りのタレが必ず付いてくる。

      甘くて辛いッ、しかし旨いッ!
      ジャンクフードが大好きな私は大満足!!

      ときおり、黒い帽子や服にキラキラしたビーズをちりばめた、山岳民族の衣装をまとった
      女性が銀製品のアクセサリーを売りに回ってきた。
      赤い薔薇を数本持った4〜5歳くらいの女の子も各テーブルを回ってくる。足は裸足だ。
      そうこうしているうちに舞台でタイ舞踊が始まった。合間に若い男の子グループが、タイで
      流行っているらしい曲をギターを鳴らしながら歌っている。
      舞台は変わり、4〜5歳の女の子が民族衣装を付け、おぼつかない身振りでタイ舞踊を踊り始めた。
      紅をさし、美しく化粧された幼い顔。広場はやんやの拍手。
      踊りが始まると、先ほどの子供達が、パーッと舞台に駆け寄ってきた。花売りをやめて、舞台の
      かぶり付きでくいいるように見つめている。
      その子供達の中に、5歳くらいの金髪の男の子が混じってきた。

      全員、舞台に見とれている。子供は国境なんて無いンだね。……しかし……。
      着古したズボンに裸足の女の子達、身綺麗なTシャツに半ズボンの白人の男の子。舞台では、
      ラメ入りの色鮮やかなピンクの民族衣装で踊る女の子……。

      星空の下の屋台広場。流れる穏やかなタイ音楽。たくさんの異邦人に囲まれて酒を呑む。
      ほろ酔いで見上げる空には満天の星……(星はほとんど見えない)。
      ……あれ、こんなハズじゃ無かったのにィ〜……。
      しかし、たしかにチェンラーイの夜には、昭和30年代の日本の空気があったーーー。

      その後、ホテルに戻りがてら、去年も見物したというカジンと、ゴーゴーバーを2軒ハシゴした。
      入り口で12歳ぐらいの三つ編みおさげの少女が客引きをしているのにウッとなる。
      入場料として、踊りを見るだけの1人ビール代80Bを支払って薄暗い店内へ。
      突然耳に飛び込んでくるロックミュージック。鼓膜が破れそうな音と、ミラーボールの光の中、
      小さな舞台に1人ずつ出てきて、体をくねらせ全裸で踊る女性。だが、どの娘(こ)もめんどくさそうで、
      けだるそうに踊っている。ゴメン、男の客じゃなくて……。
      一見、豊満な肉体だが、どこか成熟してない胸や腰回りはどう見ても16〜17歳の少女の体……!?
      シャワーショーから花電車まで、なんでもござれのミニ・ショー世界だ。
      私もカジンも、無表情のまま舞台を眺め、無言で店を出た。
      ーーー私がお金持ちだったら、せめて今宵は貸し切りにして、女の子にお休みをやるんだけどなァ。
      ……って、コレは傲慢な考えでした、ハイ…m(_ _)m

      
さぁ、明日は朝早く、バスで3時間半かかるチェンマイに出発だァ!!

ひたすらタイ!?