●食い意地旅行記 屋台の飯はうまかタイ  NO.   

  2000/2/27 

      前日に予約していた午前中の飛行機で、バンコクからチェンラーイへ。
      1時間半ほどの飛行機の旅なのに、軽い機内食が出たのはビックリ。
      水、オレンジジュースのパック。ラップでくるんだチョコレートケーキ。サラダ、小さなパンが1個。
      タイ航空マークが印刷された四角いランチボックスが配られた。
      カジンと私は、いつものようにホテルのバイキング朝食を腹一杯食べていたので、チョビチョビ
      つまんでご馳走様をした。
      スチュワーデスがランチボックスを回収するとき、何故かスーパーマーケットで使用される白い
      ビニール袋を配っている。また乗客のあっちこっちからも手が伸びる。
      どうやらそれらのランチボックスは、手をつけないまま家族のお土産となるようだ。

      \(^○^)/ワ〜イ チェンラーイだぞぉぉぉぉぉぉ!!!
      ところで、私の今回の旅行目的は、チェンラーイのナイトバザールと言っても過言ではない。
      星空の下の屋台広場。流れる穏やかなタイ音楽。たくさんの異邦人に囲まれて酒を呑む。
      ほろ酔いで見上げる空には満天の星……。
      昭和30年代の世界にタイムスリップするンだぞ〜ッと!      
      
      しかし、チェンラーイに着いたものの、ホテルは決めていなかった。
      空港の到着ロビーで、さてどーしたものかと思案していると、中年の警官がツカツカと
      近寄ってきた。ギョッとする私とカジン。悪いことをした覚えがないのに、外国で警官に
     会うとついオドオドしてしまうのは何故!?

      彼は、私たちにどうやら付いて来いというようだ。
      タイの警官は、ベレー帽にカーキー色のぴっちりと体の線を強調した制服を着ている。浅黒い精悍
      そうな顔、はたで見ていても格好いい。
      ひゃらひゃらと早口のタイ語、そのあとたどたどしい英語。でもニセモノかも…???
      しかし、彼に付いていった先は、到着ロビーの隅にあるホテル案内カウンターだった。
      で、警官お薦めのWing lnnホテルにその場で決定。
      朝食付き1泊1,000B也のツインを2泊3日。ココで500バーツの前払いで、あとは精算時に前払い分
      を差し引くという。
      なおもカジンから離れない警官。英語で何やら喋りかけている。
      「ノーサンキュー」を連発しながら苦笑するカジンの顔が、変な笑顔のまま固まっている。
      なンだ! どお〜したあ〜ッ!? 
      カジンの説明によると、片言英語のかの警官は、
      「明日、私の公休日だから、1,000バーツ出せば自分の車で観光案内してあげよう」
      ……と勧誘してたンだって。

      ウーム、話には聞いていたが、公務員のアルバイトは本当だったんだァーー。
      ホテルの送迎用マイクロバスには、華僑のお金持ち(積んであるヴィトンのトランクやバッグで
      判った)の若い親子連れ3人。
      でかいリュックを背負ってドカドカと乗り込む私たちに、夫人の顔がこわばった。私は慌てて、目一杯の
      ニッコリ笑顔で「サワディカー(⌒‐⌒)」とご挨拶。
      相手の返す笑顔に、ホッと緊張が解けていくのが伝わってくる。
      笑顔って、タイの国では大切な習慣なのかもしんないなぁ……。
      車中、空模様が怪しくなった。今にも泣きそうな空模様に、内心私が先に泣きそうになった。
      もしかして、雨でナイトバザールが中止になるかもしれない……(=_=;)!?

      Wing lnnホテルは、チェンラーイの中でも老舗のホテルらしい。
      でっかい古くて高価そうな壺や中国風の彫刻が飾ってあり、ロビーはなかなか重厚な趣がある。
      しかし、使ってない部屋も多そう。つまり、流行ってないないってコトね。だってお客はほとんど
      見かけないし、ホテルマンもちらほらいるだけだ。
      ツインの部屋は、二階のボイラー室の近くにあり、ガッガッガッと低い機械の音が耳障りに
      聞こえてきた。二階の窓から中庭にあるプールが寒々と映っている。
      新たに部屋の交換を交渉するにもタイ語は喋れないし、風邪気味のカジンを英語で交渉させるのも
      酷な気がしたのでハズレ部屋をそのまま諦めて受け入れるコトにした。
      ーーー眠るだけだし、ナイトバザールで夜遊びするし、明日の昼間は出歩くし……。
      あら、分厚い絨毯、お部屋の真ん中に古めかしい大きなソファ椅子が2つあるなんて、ちょっと
      した『赤毛のアン』に出てくるお部屋みたいだね♪、と、イイコト探しをやって、私は無理矢理
      自分を納得させた。
      だってそのぐらいWing lnnホテルの部屋はキチャナカッタんだもん。

      
      夕方遅く、私とカジンは、ふらふら歩いて探し出した地元の大きい食堂で夕食。
      コンクリートのだだ広い床のためか、雨の冷え込みが深まる。
      観光客の姿はなく、どうやら地元民御用達の食堂らしい。家族連れが盛大に飲み食いしている
      が、何を頼んでいいのか判らない。結局、無難なところで、空芯炒め、汁ソバ、ビールを頼んだ。
      料理の値段は、平均一品20〜30B。空腹の我らには、可もなく不可もない味。
      天秤棒を担いで、地酒?を売りに来たオバサンが客のテーブルを回っているが、誰も買おうと
      しない。彼女の足は裸足だった。
      食後、ナイトバザールの会場に行った。
      山岳民族のお土産物屋さんが、あっちこっちで広げた品物を片づけている。
      心なしか落胆しているように見えた。
      雨でナイトバザールは中止なのだ(T_T)
      しかたなく、私とカジンは、とぼとぼとホテルに戻った。

      異国の雨。ナイトスタンドの電球の、オレンジ色のかすかな温もりある明かり。その下で、
      風邪のためについに熱をだしてベッドにもぐり込んだカジン……。
      おまけにはき慣れない半ズボンで、炎天下を歩き回っていたせいか、カジンの両足むこう
      脛は、日焼けのために赤いブツブツの火膨れ状態でパンパンに腫れている。
      カジンは、熱で潤んだ目をしながら、心許ない顔のまま私を見上げた。
      ーーーワタシは日本のオッカサン!
      とたんに何故か張り切る私。洗面所で氷水を張り、タオルをじゃぶじゃぶ洗う。その冷た〜い
      タオルをカジンの頭にペタリとのせる。足には、氷を砕いて入れたビニール袋をバスタオルで
      グルグル巻きにする。
      カジンは子供のように心細げにおとなしく眠りに入った。
      その夜は、なんだか酷く侘びしい気持ちになって、心まで寒くなりそう……。
      きっとこれは、ナイトバザールの中止が落ち込みの原因だよ。

      
お〜しッ! 明日に期待すンべえーッ!!


ひたすらタイ!?