●食い意地旅行記 屋台の飯はうまかタイ  NO.

  2000/2/25金

    ホテルの朝食は、バイキング形式。
    中華粥、トースト、クロワッサン、卵料理(オムレツ・目玉・スクランブルエッグ)に
    ソーセイジ類、訳の分からないグチャグチャ温野菜や炒め物の味はタイ風に辛い。
    コーンスープ、サラダ類、デザートの果物は、スイカ、パイナップル、あと外見が
    メロンの皮をむいたような色の、さっぱりした酸味のリンゴ風な味の果物(名前知らない)。
    そして、コーヒー、紅茶、生のオレンジジュース、トマトジュース。
    コーヒーは、ドロ〜ッとして、インスタントコーヒーと豆をひいてたてたコーヒー
   との中間味で、ハッキリ言ってマズイ。

    これらの朝食バイキングは、以後、いろいろなホテルで食したけど、どれも似たり寄ったり
    で、パサパサしたパンとコーヒーのまずさには腰がひけた(=_=;)

    バンコクご自慢の日本のモノレールのような乗り物のスカイ・トレインは、
    ホテルから歩いてすぐのところにあった。
    しかし、急な階段を昇って歩くので結構キツイ。老人や足の悪い人はどーすンだろう?
    40B!?のカード(日本のJRのイオカードと同じ形式)で改札へ。
    カードを購入するとき、駅員らしき人ふたり、パンフレットを手に早口のタイ語で
    親切にカードの買い方や乗り方を説明してくれる。
    最新乗り物を紹介する彼らの顔が、ちょっと誇らしげなのが印象的だ。
    きれいなホームには、サラリーマンらしき人がちらほら。
    車内は空いてて、冷房が利き快適だ。
    で、終点駅から数分のところにボート乗り場があった。

    観光用のタクシーボートは400B。そんな高い貸し切りボートにうちらは乗れましぇ〜ん。
    で、隣のバンコク庶民が通勤に利用する乗り合いボートに6B払って乗り込んだ。
    舟の車掌のオネーチャンが、ブリキで作った竹の筒をガチャガチャいわせながら、
    客に切符を売っている。切符は日本の映画館の切符をもっとチャチにしたガリ版刷りの
    ようなもので、貰ったらそのまま降りるときは返さなくていい、つまり売りっぱなし
    …という訳だ。
    乗り合いボートはの客は、地元の人間から欧米人の観光客でぎっしりだ。日本人の姿は
    ほとんど見かけない。
    黄土色した大きな川を、乗合船は流れるようにして進み、船足が速い。
    舟から眺める白い美しいお寺が、流れる景色となって次々に視界から消えていく。
    おお、タイのお寺だ、と思うけど興味がないのでボーッと遠目で眺めるだけの私。
    
    私とカジンは、ヤワラーで降りた。
    船着き場に食堂がゴチャゴチャとある。食堂でアイスコーヒーを飲んだら、やっぱりメチャ甘い。
    お子ちゃま用の甘〜いミルクコーヒーですな、これは……。 
    共同トイレを借りたら、トイレの前に箱が置いてあり、2Bを払って入るシステムだ。
    以後、小銭を用意するよう心掛ける。

    ところで、私のタイでの金銭感覚は、いちいち日本円と比較してたら、トリ頭の私は
   混乱してしまう。で、手っ取り早い方法として、私は、初日、まずコンビニに入った。
   日本でもお目にかかるようないろんな日用雑貨や缶コーヒーなどの値段を見て、
   現地で日常生活するときの金銭感覚を身につけたのだ。

    
    タイに来て2日目から、チャイナタウンの中心地にあるGRAND CHINA PRINCESS(大華大酒店)
    2泊予約する。
    Wで1泊が1,900B。この地域では、ひときわ目立つ高いビルで、高層の窓から眺めると、
    階下を見渡す限り、チャイナタウンのバラック建てのような雨ざらしで、色がさめた鼠色の
    屋根ばかりが目に付く。
    でも、ホテルは、フロントも部屋もなかなかきれいだ。
    白いブラウスの襟を見せ、上下のスーツをビシッと着こなしたフロントのオネーチャンは、
    英語ペラペラで、スゲー色白な美人だった。きっとバリバリのキャリアウーマンで、
    この世界ではエリートの女性なんだろうなァ〜。

    私とカジンは、部屋に荷物をぶち込み、再度、6Bの乗り合い舟に乗ってカオサン方面へ。
    あてもなく歩いていくうちに、現在地がどこか判らなくなった。つまり迷子になった訳ネ。
    しかし、歩く。どうせ地続きだし、そのうちボート乗り場にいつかは着くさ、と、
    ひたすら歩く。炎天下の中、黙々と30分ほどムスッとしながら歩く。
     私は形相も恐く、ますます早足になる。   
    しばらくすると学校らしきところに迷い込んだ。2階の教室の窓から女の子数人が私たちを
    見つけて手を振ってきた。私も手を振る。キャ〜ッと喜ぶ女の子達…。
    年頃の女の子の、あのキャ〜ッは万国共通なのねと妙に納得。
    校庭らしきところから脇道に入ると、屋台風の学食で生徒がきゃぴきゃぴと食事をしている。
    なんか旨そう……。ホテルでしこたま食ったあとだったけど、私も食べることにした。
    カジンは、飲み物だけ。私は身振り手振りで20Bの焼きそばを注文。
    焼きそばは、プラスチックのお皿に盛られて、ペラペラのフォークとスプーンが添えられてある。
    あふあふと食べる焼きそばは、安いのに結構美味しい。お腹が空いてなかったら
    もう1杯お代わりしたいくらいだ。

    食べるモノを食べて機嫌良くなった私。再び歩く。
    道路脇の露天で、仏像らしきものがやたらと並べられている。店のウィンドーには金ぴかの
    仏像が陳列してある。どの店もゴチャゴチャした感じだ。
    しばらくすると、今度はやたらとインド人顔にぶつかった。
    路地を通ると、低い軒先に座り込んでいる無表情な顔、顔、顔……。
    たぶん、インド系スラム街なのかもしれない。
    二畳ほどの薄暗い部屋の奥で、背中を丸めて寝ころんでいるオバサン、なんかをしゃぶってる
    赤ちゃん。その決して裕福でない生活ぶりは、自分の幼い頃の光景を思い出して、なんか
    スゲー懐かしい気持ちになった。
    
    いったんホテルに戻り、再び炎天下のなかへ。
    カジンがバンコクへ着いたら、サンダルと着替えのTシャツが欲しいと言う。
    で、チャイナタウンの中の問屋街らしき路地に入り込み、探して歩いた。
    ところが無いのだ。種類の違う一郭だったらしく、まったく見つからないのだ。
    ーークソッ! なんで見つからないンだよォ〜ッ!? 
    路地から路地を探し行くうちに、しだいに早足になる。なンか無性に腹が立ってきて、
    私は形相も恐く、ますます早足になる。
    カジンは、さわらぬ神に祟りなしと、コレまた無表情で私に遅れまいと必死でついてくる。
    小一時間も歩き回ったところで、どうしてもサンダルや衣類の問屋街にぶち当たらず、
    チェンマイに行ったら、そっちで買おうということで渋々自分を納得させて、買い物探索を
    終了させた。
    ま、今夜は、屋台の焼き鳥でイッパイっていうお楽しみがあるもんねぇ…と、自分を慰めた。
    
    夜は、パッポン通りのナイトバザール見学。カジンは、チャイナタウンの屋台で食べたかった
    らしいが、私がゴネて、パッポン通りを主張した。
    渋々従うカジンと、意気揚々とメータータクシーでパッポン通りへ。
    しかし、私のイメージした屋台がない。ちなみに、この時、私がイメージした屋台とは、
    日頃からカジンからインプットされていたチェラーイ屋台風景だった。
    パッポン通りは、お祭りのような露天商であふれかえっている。
    大きな道路の真ん中にいくつも連なったTシャツや観光土産品の露天商。
    端っこに申し訳程度の食べ物屋台。その両脇には、ゴーゴーバーのお店がズラーッと
    並んでいた。
    きょろきょろと眺めて歩く私とカジンに、
    「シャッチョサン、安イヨ、安イヨ」と客引きオニーチャンの声がかかる。
    扉を開けた隙間から、
    申し訳程度のラメ入り布を腰につけてた素っ裸の若いオネーチャンが、
    何人も、クネクネと体を揺すって踊っているのが見える。
    腹も空いたし、渋々オープンカフェバーに入った。
    そこでは、炒めたエビ料理と空芯炒めをシンハービールで腹に流し込む。
    ウーム、味もそーだけど、なんかモノたりないよヨォ〜……。
    私は、テラスのテーブルで、目の前をぞろぞろと歩いている観光客を眺めながら、不満にだった。
    私とカジンは、ホテルに戻ると、焼き鳥とビールを買い込み、部屋でささやかな宴会をした。
    メコンウィスキーをロックで呑み、タイ語の流れるテレビをボ〜ッと眺める私。
    カジンは、無言でさっさと先にベッドに入って眠る。
   カジンは、本当は、チャイナタウンの屋台を楽しみにしてて、
  そこで、すごぉぉぉぉく! 呑んだり食ったりしたかったらしい。

    で、私がゴネたもんだから、渋々私に従ったものの、やっぱり納得がいかなかったらしく、
    ブーッと膨れあがったまま、ふて寝をしてしまったのだ。
    その証拠に、ダブルベッドのカジンは、下に落ちそうなほど思いっきり端っこに寄って眠っている。
    相当怒ったまま寝たって感じだなァ……。うーん、正直なヤツだ。
    ごめんね、カジン。……しかし、今夜食べそびれた屋台飯の一件で明日から当分、
    
グチグチと文句の垂れ流しがうるさいだろうなァ……はぁ〜……


ひたすらタイ!?