●食い意地旅行記 屋台の飯はうまかタイ  NO.2 

  2000/2/24木

    私の旅の始まりは、飛行機の中での半日間の禁煙の誓いからだった。
    コレは初の飛行機の長旅のせいか緊張してて、難なくクリアできた。
    楽しみだった機内食のメインディッシュは、魚か肉。カジンと分けっこして食べたけど、
    街のキッチン何とかみたいなランチか、はたまた"豪華版・学食"風で、冷めてるし、
    ボケた味がイマイチ。期待してただけにスゲーがっかり。
    和菓子のデザートも苦手なメチャ甘で、パス。
    機内サービスのワイン類は、呑むと煙草が欲しくなるので、これもパス……。
    でもいいモン、着いたらタイ料理食うモンね、

    タイ航空で成田から飛び、約6時間ほどでタイのドン・ムアン空港へ午後3時半頃到着。
    降り立ったとたん、もあぁぁ〜んとなま温い空気が肌にまとわりつき、汗が出る。
    タイという国は、喫煙マナーも厳しく、マナー違反の旅行者に対して罰金も高いと
    『地球の歩き方』に書いてあったよな。
    タイの地で、私が初めてしたことは、まず喫煙所を探すこと。
    入国手続きする前に、ガラス張りの温室のような喫煙所を見つけて、まず一服。
    「おい、行くぞぉ」
    煙草を吸わないカジンにせき立てられ、入国手続きを済ませてきれいな空港内を歩く。
    すげーなぁ〜、わらわらと人がいっぱいだ。
    しかしココは、変な客引きに引っかからないよう、タイには何度も来てンだぞー…って
    顔して、さも慣れた風に装う。
    それでもついついキョロキョロ周囲を眺めなてしまう。
    ホテルの旗を持ってる人や、客引きがみんなタイ人だよ。日本人と違う顔つきなんだぁ
    ……(って当たり前)。
    空港から一歩外に出たとたん、もっと暑いもあぁぁ〜んで全身から汗が吹き出す。
    あ、ホントに東南アジアだ。タイに来たんだ。私、外国に来たんだぞォ〜!
    感激ついでに、国際空港ビルを出て、バスの発着所にある喫煙ベンチで再び一服……。    

    たった1年前のことなのに、カジンが市内への行き方を忘れたというので、
    私は、バスの案内所で身振り手振りで市内行きを聞き、
    「あのA番のバスに乗れって、さ」と、知ったかぶりをしてカジンをうながした。
    エアーポートバスらしきものに乗ってホッとする……が、しばらくするとバスの
    乗客全員がゾロゾロ降りていく。
    「あれ? うちら2人だけ残っちゃったよ?」
    係りの人も降りろと言う。不安そうなカジンは、途端に険しい顔になる。
    着いたところは国内空港のバス停。
    また身振り手振りで市内行きのバスを聞く。
    案内の親切なオネーチャンがあと20分待て、来たら教えてやると英語で言うのを
    カジンが聞き取ってくれた。私は英語が全く理解不能なのだ。
    なーんてことはない。うちらは空港循環の無料シャトルバスに乗ってただけだ。
    こんなこと『地球の歩き方』には書いてなかったよォ〜。
    国内線の待合所でハンバーガー屋と自動販売のコーラを見つけた。
    私は、お腹空いてないけど食べたかったし、コーラも買ってみたかった。
    だけどカジンが怖い顔したので諦める。
    エアポートバスから眺めるタイの初景色は、日本企業の看板……。
    頑張ってンのね日本、と思いつつも、アニマル日本という言葉を思い出し、
    ちょっと恥ずかしかった。
    
    今夜は、バンコク、サヤーム・スクエアの中にある、日本で旅行社に予約していた
    Novotel Bangkokに1泊。
    フロントやラウンジは、大人の社交場的なゴージャスな雰囲気。
    私は、ホテルに泊まったとき、冷蔵庫やバスルームなんかを探検するのが大好きだ。
    で、さっそく部屋の中を探検する。
    へー、古い部屋だけど、結構ゴーカじゃん! ふーん、ミネラルウォーターは
    サービスなんだァ。ゲッ、固定シャワーかいッ。バスタブの水はけが悪ーいッ!
    「行くぞッ」
    去年も初日に同じホテルに泊まったカジンは、緊張が解けたのか機嫌がいい。
    「去年は麒麟飯店で飯食ったけど、辛くてな〜。今度は絶対ココと決めてたんだ!」
    カジンが案内してくれた場所は、フカヒレ専門の店が数件並んだ通り。
    「スモーキングOK?」
    私は、まず煙草が吸える店を探す。一軒だけ、2階ならOKだという。
    2階は、いかにも歴史ある華僑のお店という雰囲気だ。
    全面ガラス張りの個室が2部屋、回る丸いテーブルには10人は座れそう。
    すでに一つのテーブルでは家族連れらしく、8人が個室でテーブルを囲んで宴会の
    真っ最中だった。
    ここでは、カジンの念願だったというフカヒレと、タイ炒飯、青菜炒めを
    各一人前、それに飲んべえお約束のシンハ・ビールを2本注文。
    お試しに一人前だけ頼んだフカヒレスープは、お皿の上に乗った土鍋入りで300B。
    熱々で、小鉢に分けてアフアフしながら食べる。
    いやぁ〜んッ、美味しいよォ〜ッ!! 
    1年ぶりに思いを遂げたカジンの目も、美味しいゾとニヒャラ目で笑ってた。。
    フカヒレは、なンか歯ごたえのある春雨という感じ。味は結構こってりした醤油味。
    タイ炒飯も、ご飯がパラパラして油っこくなくてあっさり味。いくらでもいけそう。
    お皿の脇についてる細い万能ネギは箸やすめか!? 
    青菜炒めはさすがに辛いッ。
    クーラーが効いて涼しかったはずだが、あふあふもごもごと夢中でパクついてく
    うちに、カジンも私も汗びっしょりになった。
    きつい匂いのする香料の染み込んだ紙のおしぼりで顔をぬぐう。
    気がつけば、新しい4人グループの客がちらちらとコッチを眺めている。
    彼らは、1人に一つずつ土鍋のフカヒレスープを頼んで食べていた。
    そーかー、一つずつが当たり前なのか。ま、いいかァ。
    うーん、満腹、満足!! 
    
    腹ごなしに2人でお散歩。
    原宿と新宿をごっちゃにした雰囲気の、噴水のある広場は、タイの若者と欧米人の
    観光客で溢れかえっている。
    カフェテラスでアイス珈琲を頼んだら、ヤケに甘ったるいアイスミルク珈琲が
    きた。甘すぎて飲みづらい。くちなおしに煙草を吸う。
    どうやらタイでは、煙草を吸う人間は、食事も喫茶もクーラーのない外というのが
    お約束らしい。
    ところで、タイの携帯電話は、おしゃれな若者の必須アイテムか?
    1人の男の子が、さも用があってかけてるンだって感じで、首から下げている携帯電話を、
    みんなに見せびらかすようにしながら独り大声でお喋りしていた。
    コッチの携帯電話は、大振りだ。でも、その目立ちかげんがイイのかも……!?
    ホテルに戻る途中、屋台の焼き鳥を発見する。
    香ばしそうな煙が上がっている。
     「まだ、明日もあさってもずーっと居るんだから、な?」と、カジンが言う。
    すごーく食べたいッ! でもお腹がいっぱいだ…ムム…残念!!
    よし、絶対に屋台の焼き鳥を明日食べるぞぉぉぉぉ!!



ひたすらタイ!?