●食い意地旅行記 屋台の飯はうまかタイ  NO.1  タイへ行くきっかけ

   2000/2月某日  

    「チェンラーイは、屋台がズラ〜ッとあって、こう〜なんて言うかァ、終戦直後の頃の
    活気と温もりの時間が流れていてなァ〜……」と、家人は言う。
    おいッ、遠い目して懐かしがるなよ、アンタはまだ生まれてないだろッ!
    (彼は歌人…と呼べとゆーがメンドーなのでココではカジンと記す)
    「何食べた?」
    「そりゃーもちろん、タイの焼き鳥とか汁ソバとか……」
    「ほかには?」
    「知らない名前の食べ物ばっかり、いぃ〜っぱいッ!」
    「絵に描いてみてよ」
    「バカ、描けないよ」
    「うまかった?」
    「おぉ、うまかったぞぉ〜!!」
    タイの焼き鳥ってどんなタレなんだろう!? やっぱ鶏かなァ。タイの汁ソバって…!?  
    麺はどんなンかなァ? どんな味だろ? いぃ〜っぱいって、どんなのが???
    未知の食い物にはずるずる涎が流れるよぉ。
    カジンは、タイ北部のチェンラーイの屋台風景がいかに素晴らしかったか、食い物が
    いかに美味しかったか、帰ってから事あるごとに耳タコに話す。
    ーーチッ、いいなあ〜……。
    去年の3月、カジンは10日間ほど友人と2人でタイを旅行したのだ。
 
    その頃、グータラな私は、久々に珍しくも徹夜続きの仕事を10ヶ月間びっしりした。
    しかし、手にした報酬は、借金を返すと微々たるもの。
    ああ、情けンなかァ〜…主婦のパート代より安かヨォ…と、泣けてきた。
    ついでに今年の1月、自由業にありがちだが、突然ぶっつりと仕事が途絶え"情けンなかァ"
    が倍増した。
    そうなるといつもの生活習慣で、私はパチンコに走る。
    去年一生懸命に働いたご褒美か、ギャンブルの神様は、何度か私を勝たせてくれて、
    そのたびに姑息にも1万円札を握って郵便貯金に走った。
    ある日、パチンコの神様が大フィーバーさせてくれて、郵便貯金は25万円になった。
    ーー私だってずーっと忙しかったンだから、自分にご褒美をあげたってイイよな……。
    私は、カジンから無意識にインプットされていたタイに行こうと思い立つ。
    カジンも一緒について来るという。
    こうして私は、カジンと2人で憧れのタイへと旅立つことになったのだ。


ひたすらタイ!?