●食い意地旅行記 屋台の飯はうまかタイ  2001.春 その3  
   

3/10  土曜
お昼頃、家人は、連絡を取っていた白いトドとようやく電話が繋がったようだ。
白いトドは、家人の仕事仲間兼遊び友達で、家人と私にタイの魅力をどっぷりと仕込んでくれた。
彼自身、タイ語と英語がペラペラで、根っからタイ人気質のタイフリークな人物だ。
家人と白いトドの2人がつるむと、糸の切れた凧。クレヨンしんちゃん双子バージョン!?
目を輝かせながら新しい好奇心探しに、せかせかガチャガチャと忙しく遊びに行ってしまう。

家人は、ホテルまで迎えにきた白いトドと一緒に嬉々として、チェンマイ郊外の競馬へ出かけた。
夕方6時頃には戻ると言ったけど、アノ2人では、今までの経験からいって全くアテにならない。
で、私は、夕方になるのを待って、さっさと近所の店で買ってきたガイヤーン35Bを肴に、
メコンのコーラ割で晩酌を始めた。
ところが、6時半頃家人が珍しく戻ってきた。
今日は、白いトドの誕生日なので、みんなで食事をしようと言う。
おーい、早く言ってよォ〜。もうガイヤーンでお腹いっぱいだよォ〜……。

下のロビーに降りていくと、半年ぶりに会うタイ人のレンとノンの姉妹、その従弟のゴウが、
白いトドと共に私を待っていた。
去年の夏以来の再会だが、華奢で小柄なレンは少しも変わっていない。相変わらず大きな瞳が
よく動き、シッカリ者のお姉さんといった感じでニコニコしている。
従弟のゴウは、チェンマイでも有名なMホテルでボーイになったという。
なるほど、半年前は、いかにもメーホーソンからきた素朴な青年、と言った風情だったが、
今はすっかりあか抜けた都会の若者ファッションになっている。浅黒い肌に濃い眉、クッキリ
した大きな黒い瞳…結構ハンサムだから、さぞやファランの女性宿泊客にモテる事だろう。
妹のノンには、初めて出来た恋人メンティンが傍らに寄り添っている。
27歳の彼は、生まれも育ちもイギリスで、クィーンズ・イングリッシュを話すインド系イギリス人。

↑…長女のレン(左側の写真)、妹のノンと、その恋人メンティン(右側の写真)↑

近くのインド料理レストランで、白いトドのお誕生日ディナーが始まったが、この食事風景は、
ちょっとした見モノ…。食事の間中、日本語、タイ語、英語と忙しく飛び交う。
カタコトの英語を話す家人。
カタコトのタイ語を話す私…!?
レンは、純粋にタイ語しか話さない。
そして、日本語もタイ語も判らないクィーンズ・イングリッシュのメンティン。
英語学校に通うノンは、タイ語とアメリカン・イングリッシュ。
日本語、アメリカンイングリッシュ、タイ語と、いずれも母国語のごとく自由に3カ国語を操る
白いトド……。

面白いことに食事が進むに連れ、自然と2グループに別れて会話が弾むようになった。
レンとノンと私の3人はタイ語で近況報告をしあう。私がたどたどしく話すタイ語に、姉妹は
辛抱強く待って聞いてくれるし、彼女らも私が聞き取りやすいようにゆっくり何度も同じ事を
話しかけてくる。
家人と白いトドとメンティンは、何やら英語で話し合っている。
ときおり私がメンティンに怪しい英語で話しかけて意味が通じないときは、私がノンにタイ語で
話し、ノンに英語で通訳して貰う。その反対にメンティンから私への質問は、英語をタイ語に翻訳
する。つまり、ノンがタイ語と英語の通訳係になるわけだ。
それでも、込み入った話になって英語とタイ語が大混乱になると、白いトドに助けを求め
交通整理をやってもらうことになる。
こんな体験、私には初めてだが、実はこの会話が結構弾む。
一種、言葉のゲームをやってるみたいで、それぞれ一つの会話が成立すると、みんなニッコリ
笑顔になり、大仰な喜びの声を発する。
頭の隅っこにピーンと神経のアンテナを張りながらのお喋りは、心地よい緊張感と疲労感がイイ。
しかし、なかなか壮観な食事風景だなァ〜……。

食後、ディスコに行こうと言うことになり、センターの近くまでソンテウで移動する。
ソコは、流行りモノ好きな地元の若者が集う場所らしく、広くて薄暗い店内にロック音楽の嵐。
いくつものの小さな丸テーブルを取り囲むように、勤め帰りのOLや学生のグループがいる。
ツーショットの姿はなく、男同士、女同士でかたまって座っている光景が珍しかった。
ステージでは、名前は知らないがお客の熱狂ぶりを見ていると、どうやらメジャーなバンドが、
派手な振り付けて踊り吠えて(歌って!?)居る様子。
冷房もコノむんむん熱気にゃ負けますゼ。
時折、みんな椅子から立って踊るが、どこか人目を気にして少し恥ずかしそうなのが可愛い。
私? もちろんノンとコウと3人一緒になって踊り狂ったさッ(^O^)
この異常コーフンの中で、白いトドの誕生パーティーが始まった
レン達が用意してきたバースデーケーキに歳の数だけローソクに火を灯す…予定だったが、
30数本のローソクは多すぎると、白いトド自らのストップがかかり、半分だけのローソクになった。
ステージの司会者が早口のタイ語で告げると、白いトドにピンスポが当たり、大きな音でハッピー
バースデーの音楽が流れ、みんなで拍手をする。
ちょっと恥ずかしそうな白いトド……。
白いトドは、前日呑みすぎで二日酔いにもかかわらず、(レンの助けを借りながら)立派にホスト役
を務めた。
ゴウは、もうすっかりデキ上がっていて、ニコニコ笑ってやたら全員に乾杯をしかけてくる。
大丈夫かい、ゴウ!? こりゃ確実に明日は二日酔いだネ。
持ち込み可のタイのレストランに、レン達がメコンとシーバイスを持ってきたが、その2本とも
そろそろ空きそうだった。
で、肝心な会計は、白いトドが全部持った。タイでは、誕生日の主役が招待客にご馳走する習わし
だとか……。どうりで、レストランで家人が半分勘定を持とうとしたのを断った訳だァ〜。
気が付けば時間は午前1時近くになっている。
土曜日の夜のせいか、店内の熱気はどんどん盛り上がってきている。

白いトドとレン姉妹グループ、家人と私、それぞれ二手に分かれソンテウに乗り込み、また遊ぼうネ、
と、みんなでバイバイする。
帰り際、レンから「デー・マイ?」と聞かれ、私はメチャ面白かったので「サヌック・マーク」と、
ニコニコして応えた。
ーーいや〜、ゴージャスなお誕生日だった……(^_^)v
ひたすらタイ!?